フヒねむのブログ

ねむくて仕方がない日々の記録を残せたらいいな、と思っています

【漫画感想】「EX-ARM エクスアーム」 8巻

EX-ARM エクスアーム 8 (ヤングジャンプコミックス)

かつて東京を破壊した「No.11」を含む3つのEX-ARMを巡り、組織同士の潰し合いと化した「EX-ARMオークション」…! アキラ達EX-ARM対策課が警護役を務める仁國社は何者かの仕掛けで“孤立"状態に。劣勢組織掃討、資金収奪の標的となり、潜伏に向かう仁國社を、謎の“覆面男"が急襲する…!! 決死の応戦で爆発に巻き込まれたアキラは、異質な空間で目覚める…。眼前には、オークションの謎の鍵を握る人物が──!!?

8巻の帯のコメントは太田垣康男氏でした。またまた大物ですね。コメント自体は定型っぽい内容ではありましたが…。なんでしょうか、そういう大物へのコネクションのある編集の方が付いていたりするのでしょうかね。新巻ごとに帯が楽しみになる、という珍しい楽しみを見出しつつあります。大物かどうかも自分で判断がつかないような知らない方が登場したら触れられないし、どうしよう、とかいらない心配すらし始めています。


さて「EX-ARM」8巻です。7巻の感想から書いていた生身の身体であるはずのアル・ジャードさんが最強説、8巻でも補強されてしまいました。今回の戦いで勝てた理由を自身で色々と語ってくれましたが、それに対する読者の大半が感じたであろうツッコミを機械化目玉おやじのような見た目の主人公であるアキラ君がしてくれました。

他にもアル・ジャードさんには思うところが色々とあるのですが、「ヒトの可能性は無限-」とか言っておいて、アンドロイドのアルマさん最高!みたいな感じになっていた割にソーマ君のアルマさんに対する物言いを許す辺り、よくわからない人物だなあ、という印象ですね。登場したては完璧超人なのに、少し経ったらポンコツになってしまう、というルートは絶対に辿って欲しくないな、と思います。とは言え、最強に君臨し続けてしまうのもどうかと思いますけれどもね。


また7巻の感想では巻末に登場した人物が8巻で正体をあらわすのかな、と書いていましたが、特にそんなこともなく*1…ましてや、アキラ君のお兄ちゃんということでもありませんでした。重要そうな人物ではありますから、今後の展開次第ではその芽もまだまだあるのかな、とか思っていますけれどもね。それにしても、その正体不明なオークショニアの髑髏の仮面は中二病をこじらせてしまった感が溢れていて良いですね。ネットワークで通信しているだけの対話であるはずなのに、わざわざ物理的な仮面を被るのか、とか疑問はなくはないですけれども。もちろん、仮面を被るというモーションもバーチャルな世界のものである可能性は大いにありますがね。


ところで、ここのところ美波さんとアルマさんのバディ感のまったくない展開が続いていて寂しいです。8巻での展開によって、また長い期間2人の組み合わせは見ることができないのだなあ、と思うと余計に寂しくなりますね。前作「EX-VITA」とはパラレルワールドになっている設定なので、2人の関係性もVITAの時とは違って問題ないはずなのですけれども、そうは言っても基本的には似ている関係性なので、どうしてもバディっぽさを求めてしまうところがあります。あの少し「逮捕しちゃうぞ」にも通ずるところのある雰囲気、好きだったのですよね。


そんな訳で「EX-ARM」8巻はお話が盛り上がってきた、とわくわくする反面、美波さんとアルマさんのバディ展開は遠くなってしまったように感じられ少し寂しくなってしまいました。アルマさんが無事に早く美波さんの元へと戻ってきてくれることに期待です。そして、9巻の帯もどんな大物が登場するのか、楽しみですね。

*1:オークションの主催者だとアキラ君には名乗りましたが

【漫画感想】「東京カラス」 10巻(完結)

東京カラス 10 (サンデーGXコミックス)

東京の運命はいかに!怒濤の最終巻ここに。

特殊能力は何も持たない女子高生・大島田満子率いる代々木第四高校・都市伝説研究会。
大看板・大島田家を巡る勢力争いが、日本の陰陽界を東西に分ける大抗争に発展。
そして、その結果…東のクリスティーヌ春子が大島田の跡目を継ぐことに。
更に、クリスの母・ブリトニーが、クリスと入れ替わるという荒技を繰り出し、一気に権力を握る。
ブリトニーの計らいで東京を襲撃する、最凶首無し男。
大島田満子、最後で最大の戦いが始まった!!

Amazon内容紹介より

「リュウマのガゴウ」に引き続き「東京カラス」も完結してしまいました。好きな漫画が終わってしまう時というのは、いつになっても、どんな終わり方だとしても寂しいものがありますね。個人的には東京カラスはずっと都市伝説研究会のドタバタ劇を見ていたいな、と思わせてくれる漫画でした。9巻の感想で「非日常なことの起こりまくる日常系の漫画として長く続いてくれば…」と書いていますが、9巻から始まった東京カラスにしては規模の大きなお話の終わりが漫画の終わりになってしまいました。


さて「東京カラス」10巻、完結巻です。9巻で急激にお話のサイズが大きくなり、大島田家の問題が激化したと思ったら、それがラストバトルとなりました。ラストバトルも影響の規模と緊迫感の割には間の抜けた雰囲気の漂う、都市伝説研究会らしい、東京カラスらしいラストバトルでしたね。何だかんだで決定的な瞬間は描かれていないのも、また「らしい」ところかと思います。決着のつけ方には驚かされましたが…。ブリトニーの得たポジションって多くの創作物で悪役が望むところで、結局はたどり着けずに打倒されてしまうところだと思うのですが、各種問題の解決策としてそんなボスキャラすらも「慈悲と慈愛」で取り込み、利用してしまうところに満子さんと東京カラスという漫画の懐の深さを感じてしまいました。

またラストバトルの際、過去に都市伝説研究会が解決してきた都市伝説の怪人たちが満子さんに協力するシーンがありましたが、最初は「単行本第○集 ○○の刻参照」という注が怪人たちに付いていたのですが、そのうち増殖する「未掲載」の怪人たちには笑ってしまいました。こういうところ、好きなんですよねえ…。
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それにしても「柴犬フォルムの滝川君が可愛くて好きだったので、いつかは戻って欲しい」とも以前の感想で書きましたが、ラストバトルの後に戻るとは…。ラストバトルの際にはどちらが上でどちらが下なのか、よくわからない活躍も見せてくれていましたね。そしてラストバトルが終わっても、結局人間フォルムには戻れないイケメン滝川君…彼がこの漫画の中で一番不幸だったのでは、とか思います。滝川君自身は、何だか楽しそうなのが救いではありますが。


ところで、これは「リュウマのガゴウ」が完結した時にも思ったことではありますが、「東京カラス」はもっと売れて欲しい漫画でしたね。原案とキャラクターデザインはコザキユースケ氏とクレジットされているのも納得という感じで、キャラクターの魅力はかなりのものがありましたし、「リュウマのガゴウ」と違ってお話自体がわかりにくい、という種類の漫画でもなかったので、もっと読まれても良いのになあ、と思っていました。ただ、誰かに宮下裕樹氏の漫画をオススメするとなったら「リュウマのガゴウ」でも「東京カラス」でもなく、やはり「正義警官 モンジュ」を推すだろうとも思いますので、ジャンル的に万人受けしにくいのでしょうかね。うーん、難しい…。


そんな訳で「東京カラス」はメインストーリーが進もうが停滞していようが面白いからOKと思える、疾走感溢れるドタバタが堪らない漫画でした。もっともっと日常回で続けて欲しかったので残念ではありますが、いつでも再開出来る漫画でもあるとは思うので、いつか戻ってきてくれることを祈りつつ「決闘裁判」の単行本化を待ちたいと思います。

【読書感想】「鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活」

鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)

1941年、日本軍収容所から脱走した一人の捕虜が漂着したハイアイアイ群島。そこでは鼻で歩く一群の哺乳類=鼻行類が独自の進化を遂げていた―。多くの動物学者に衝撃を与え、世間を騒がせた驚くべき鼻行類の観察記録。

Amazon内容紹介より

随分と長いこと読みたかった一冊です。自分で読むことなく、読みたがっていた方にプレゼントしたことがあったのでとても気になっていました。その際にやはり相手が欲しがっていたとしても、自分で読んだことがない本はプレゼントするべきではないな、と痛感したものです*1。とにかく今回、やっと自分で読めて良かったですね。


さて「鼻行類」はハイアイアイ群島で発見されたとされる独自の進化を遂げた生物群の生態を学術的に記述した本です。学術的に記述された本ですから、一般的には読み易くはない文章ではあると思いますが、多くの図も挿入されており、それらを眺めるだけでも楽しめるかと思います。読みにくい文章とは言え、文庫版で100ページ強の文量ですからそこまで読むのも苦労はしませんでした。


本書を読んでみて改めて思うのは、どこからどこまでが本当の情報なのか自分だけでは判断出来ないな、ということでした。そもそも本書に関してはすべてがフィクションという前情報があって読んでいるので、何となく「そんな訳ないよ…」という気持ちになって読んでいましたが、これがNATIONAL GEOGRAPHICなどのサイトに載っている情報であれば、あまり疑うことなく信じてしまっていたと思います*2*3

これは専門的な学習を積んでいない生物学という分野の本だから、という訳ではなく、自分の専門分野の文章であっても恐らくは大して変わらない反応を示してしまったことでしょう。その点で博士課程に進んで学んだような方たちは、摂取した情報の確度・信頼性というものを測る物差しを自分自身の中に持っていることや、一旦保留にして考えることを訓練出来ている方が多いなあ…と思うことが少なくないですね*4。だからと言って、自分がそうなり得たか、というと難しかったでしょうから、こればかりは良い悪いではなくて物事に対する態度の差という他ないような気もします。


ところで日常的にインターネットに触れているとその重要性の有無は別にして、真偽不明の情報が星の数ほど見付かります。中には緊急性や重要性を煽っていたり、信じてしまいたくなるような方向に作り込まれた情報などもあったり、スパムメールの類が可愛く感じられるようなえげつない内容の物も数多くあります。古い時代のインターネットには、本書までのクオリティではないものの、かなり楽しめるフィクションであることを前提とした面白文章がたくさん転がっていたような気もしますが、現在一番有名かな、と思えるフィクション系である某サイトの内容やそれに対する批判などを見ても、本書のようなスタイルの楽しみ・風刺というのは在り方が難しい時代になってしまったのかもしれないな、と思ったりしました。


そんな訳で「鼻行類」は日常的に行う情報摂取に対する自分の態度に関して、改めて振り返るような読書になりました。また単純に眺めていて面白いので、この類の本が一定数存在していて欲しいとは思いますね。本書ほどのクオリティを創り上げるのは並大抵のことではないでしょうけれども。また、現代では同類の本を作るのはなかなか難しそうだな、とも同時に思いました。本書と並んで紹介されることが多いスイミーで有名な「レオ・レオニ」による「平行植物」もぜひ読んでみたいですね。

*1:そもそも本をプレゼントする、と言うこと自体をあまりオススメしませんが…

*2:もちろん、だからこそ信用がおけるメディア、というものが大事になる訳ですが…

*3:各種学術誌や論文の類までは読むことが難しいので、ナショジオ止まりです

*4:あくまで例として博士課程、というだけで高等教育を受けていない方にも自分自身のしっかりとした物差しを持っている方はいらっしゃると思います